網膜前膜

網膜前膜とは?

加齢とともに後部硝子体剥離(詳細は「飛蚊症」のページ参照) が起こった際に、硝子体の一部がうすい膜状に残る(残存硝子体皮質)場合があり、これが元となって膜状に変化するとともに、縮んでいきます。これによって網膜が歪んでしまう状態のことを「網膜前膜」といいます。網膜前膜は軽度のものも含めると、約4人に一人にみられたという報告もあり、比較的多くの方がなりやすい病気です。また、頻度は少ないですが、硝子体手術後に網膜前膜が出てくることもあります。

網膜前膜とは?

症状は?

うすい膜が縮むことによって、網膜が歪んでしまいます。網膜はカメラでいうところのフィルムの役目をしているため、見ている画像も歪んで見えてしまいます。また、色が薄く見えるようになったり、眼鏡をかけてもよく見えないなど、視力に影響が出てくる場合もあります。

Q. 検査方法は?

1視力や眼圧検査などの一般検査

視力が下がっていないか確認します。視力が徐々に下がる場合もあります。

2細隙灯顕微鏡検査

網膜前膜は加齢とともに起こることが多いため、他の加齢性変化である白内障などがないかを確認します。

3アムスラー検査

碁盤の目状のマスを見る検査で、歪みを感じているかを確認する検査です。次のページの簡単チェックシートで確認してみて下さい。

4眼底検査

網膜前膜の範囲や程度を確認し、その他に病気がないかも調べます。

5光干渉断層計(OCT)

網膜の断層画像を撮影する検査で、網膜前膜の範囲、網膜の歪みの程度などを調べることができます。治療方針の決定に大切な検査です。

簡単チェックシート

網膜前膜の疑いがないか、チェックをしてみましょう

1老眼鏡はかけたまま、 目から30cmほど離す

2片眼をつぶって中心の黒い点を見る

3 下のような見え方をしていないか確認する

簡単チェックシート

網膜前膜の方は以下のように見えることがあります。

網膜前膜の方

これらの症状があったり、最近視力が下がったように感じる場合は、精密検査を受けましょう。

Q. 治療は?

網膜前膜は軽度の場合、様子をみることもあります。しかし、自然に治ることはなく、治療法としては、硝子体手術で原因となっている膜を除去するしか方法はありません。歪みが強い場合は、術後も歪みが残ってしまうこと、視力が大きく低下してから手術するよりも早期の段階で手術をしたほうが術後の視力が良いという報告もあることから、以下の方は早期の手術をおすすめしています。
注意点として、原因となっている膜を引っ張るため、網膜の形が元に戻るまで、歪みが一時的に強くなることがあります。また、視力が安定するまで、半年〜1年程度かかることがあります。

早期の手術が望ましい方

  • 視力が下がっている
  • 網膜の変形が強い
  • 歪みを感じている
  • 進行しつつある

硝子体手術

早期の手術が望ましい方

原因となっている膜を特殊な器具を用いて眼内から取り除く手術です。当院では極小切開硝子体手術という、傷口が0.5mm程度の負担が少ない手術を行っています。