色覚異常

人はどうやって色を感じている?

色は3要素によって決まります。人の網膜には色を判別する細胞があり、それによって色を見分けています。

色の3要素

色の感覚は以下の3つの要素で決まります。
色相 色味の性質(光の波長)
明度 色の明るさ
明るい赤暗い赤
彩度 白が含まれる割合
鮮やかな赤色味の少ない赤

3つの錐体(色を感じる細胞)

網膜には3種類の錐体が存在し、それらの働きによって色を感じていると考えられています。

3つの錐体(色を感じる細胞)

先天色覚異常とは?

3つの錐体のうちいずれかの異常によって起こり、色の感じ方が正常と異なる体質のこと。
全国の推定患者数 290万人

先天色覚異常の種類

異常3色覚(昔でいう色弱)

→ 赤・緑・青錐体のいずれか一つの感覚が鈍い

2色覚( 昔でいう色盲 )

→ 赤・緑・青錐体のいずれか一つがない

1色覚

→ 赤・緑・青錐体のいずれか一つのみしかない
※ 色覚異常は病気というよりも生まれつきの体質であるという考えの元、偏見をなくすために、現在は「色弱」や「色盲」という呼び方はしません。

色覚異常の見え方

色覚異常の見え方

Q. 色覚検査とは?

色覚異常を発見するスクリーニング検査、程度判定のための検査、確定診断をつけるための検査などがあります。

1石原式色覚検査表(数字読み検査:スクリーニング

数字を読んでいく検査で、色覚異常がありそうかを調べる検査です。色覚異常の方には判別しにくい色の組み合わせを用いて描かれている数字を読んでもらい、色覚異常の可能性があるかどうかを判定します。正常の方でも疑いとして引っかかることもあります。あくまで、色覚異常の可能性がある人を見つけるための検査で、確定診断には至りません。

石原式色覚検査表(数字読み検査:スクリーニング)

2パネルD15(色並べ検査:程度判定

色を順に並べていく検査で、色覚異常の程度(中等度以下と強度)を調べる検査です。少しずつ色の違った15色をばらばらの状態から順々に並べていきます。色覚異常の程度の強い人は正常と異なる並べ方をします。また、色覚異常の型によっても並べ方に特徴があるため、ある程度分類が可能です、しかし、程度の軽い色覚異常の人では正しく並べられるため、この検査でも確定診断することはできません。

パネルD15(色並べ検査:程度判定)

3アノマロスコープ(色合わせ検査:確定診断

特定の光を用いて、色合わせをする(同じ色にする)検査で、この検査のみ唯一、色覚異常の型を正確に診断できる検査です。上下2つに分けられた丸のうち、上半分は色を緑→黄色→赤へと変化させ、下半分は黄色の明るさを変化させます。色味と明るさが一致する範囲を調べることで、色覚異常の判定を行います。

アノマロスコープ(色合わせ検査:確定診断)
色覚異常であることを後になって知ることで、多少なりとも進学や就職に影響が出る場合があります。そのため、できる限り早めに色覚検査を受けて、色覚異常であることを自覚して、正しく知り、対策をすることがとても大切です。
2013年9月19日   朝日新聞
色覚異常は “色覚の多様性(個性)”であり、病気ではありません。同じ赤でも、人によって違う赤に感じるのも個性です。色“弱”、色“盲”といった偏見をなくす必要があります。近年では、昔と比べ、色覚異常の方でも何不自由なく生活しやすいような社会になりつつあります。その代表的なものが「ユニバーサルデザイン」というものです。これは、多様な色覚に配慮して、情報がなるべくすべての人に正確に伝わるように、利用者の視点に立ってデザインされたものを言います。
正常者の見え方 色覚異常者の見え方
また、最近では、特殊な光の透過性を持った眼鏡で、色覚異常の人にとって見えづらい色と他の色とのバランスを合わせることで、補助効果を示すような色覚補正眼鏡などが開発されています。
(Valspar & EnChroma)