網膜静脈閉塞症

血管について

私達の体には主に3種類の血管があります。

動脈 … 心臓から全身(目も含む)へ栄養や酸素などを送る。
静脈 … 老廃物や二酸化炭素などを全身から心臓へ戻す。
毛細血管 … 動脈と静脈の仲介役。物質の交換をしている。

血管について

動脈は心臓から全身へ酸素や栄養などを送る血管で、ポンプ(心臓)で汲み上げられる水を出す蛇口のような働きをしています。動脈は徐々に枝分かれしていき、毛細血管という非常に細い網目状の血管となり、目を含む全身へと張り巡らされています。全身の臓器や筋肉などではこの毛細血管を通して、酸素と二酸化炭素、栄養と老廃物などといった物質の交換を行っています。回収された老廃物などは静脈を通して心臓へと戻っていく、というのが血液の流れです。

網膜静脈閉塞症とは

イメージにすると、心臓はポンプ、動脈は蛇口、静脈はホースに例えることができます。そしてホースを通して集められた水(血液)はまたポンプで汲み上げられて全身へ巡るようになります。
一方、この静脈(ホース)が詰まってしまう病気が「網膜静脈閉塞症」です。網膜静脈閉塞症ではその場で血の塊ができたり(血栓)、あるいは他の場所から血の塊が飛んできて詰まる(塞栓)ことが原因で起こります。ホースが詰まってもどんどんポンプと蛇口を通して水が出てくるため、最後はホースが破裂してしまいます。これが網膜静脈閉塞症に伴う眼底出血や黄斑浮腫(むくみ)に繋がります。原因としては動脈硬化高血圧があります。

網膜静脈閉塞症とは

網膜静脈閉塞症は詰まってしまった血管の場所によって、病状に大きな違いがあります。

網膜静脈分枝閉塞症

静脈の枝分かれした一部が詰まった状態です。詰まってしまった血管の場所によっては無症状で気が付かないこともありますが、黄斑(視力で最も大切な部分)に出血や浮腫(むくみ)があると、視力は極端に低下します。

網膜中心静脈閉塞症

網膜に分布する静脈の最も本幹の部分(網膜中心静脈)が詰まってしまった状態のことで、著しく視力に影響が出ることがほとんどです。重症な状態のまま放置すると、失明に至ることもあります。

< 網膜中心静脈閉塞症の眼底写真 >

網膜中心静脈閉塞症の眼底写真

症状

  • 見えづらい
  • ものがゆがんで見える
  • 視野が欠けている

検査

1視力や眼圧検査などの一般検査

視力が下がっていないかなど、一般的によく行われる検査を行います。

2細隙灯顕微鏡検査

網膜中心静脈閉塞症に伴って起こる合併症(血管新生緑内障)やその他の病気がないか検査します。

3眼底検査

目薬を使用して、目の中を観察し、眼底出血などがないかを観察します。

4光干渉断層計(OCT)

網膜の断層画像を撮影する検査で、黄斑浮腫の有無やその程度などを調べることができ、痛みもなく、非常に短時間で繰り返し検査することができる非常に有用な検査です。

検査

5蛍光眼底造影検査

腕の血管から造影剤を注射して、目の奥の血管や網膜の写真を撮ることにより、血の巡りを調べる検査です。血管が詰まっているところや、新生血管の有無、水漏れが起こってしまっている場所などを調べることができ、進行の程度や治療方針を決めるために行われる検査です。造影剤による副作用に注意が必要です。

6光干渉断層血管撮影(OCTA)

造影剤を使わずに血流を調べることができる検査です。造影剤を使わないため、副作用や痛みもほとんど伴わず、繰り返し行うことができる検査であり、網膜静脈閉塞症の診断や病状の把握に非常に有用です。

当院では

院長は旭川医大で網膜静脈閉塞症外来を担当

院長は旭川医大で「網膜静脈閉塞症外来」という専門外来を担当し、専門的な診断や治療を求めて全道各地からご紹介いただく患者さんを数多く診てきました。その長年の経験を当院でも活かして診療を行っています。

大学病院水準の医療機器と経験で早期診断

網膜静脈閉塞症は、視力予後を良くするため、いち早く診断し、早期に治療をすることが重要です。当院では、大学病院と同水準の医療機器を揃えており、近年特に注目されているOCTAも完備しています。

低侵襲レーザーと即日対応の注射で治療

当院では傷みが出にくい低侵襲なレーザー機器を完備しております。また、注射による治療が必要な患者さんには、ご希望に併せて、即日対応可能です。可能な限り患者さんに負担が少ない、優しい医療を提供します。