近視・遠視・乱視

ものを見る時

ものを見る時

光は角膜と水晶体を通して屈折しながら目の中に入り、 網膜上にぴったり焦点を結びます。
 (→ それぞれの名称については「目の構造について」ページ)

 

近視

近視

主な原因

1.眼球の長さが長い(=軸性近視)

2.光を屈折させる力が強い(=屈折性近視)

眼内に入った光の焦点が網膜の手前で結ばれてしまい、網膜にピントが合わない状態のことをいいます。近くは見えますが、遠くは焦点が合わないため、ぼやけてしまいます。網膜に焦点が合わなくなる原因には上記2つの原因が考えられています。眼球の長さは遺伝によっても決まりますが、成長や環境によっても長くなります。 アメリカなどで行われた大規模な研究の結果では、近視の進行は1.眼球の長さが長い(=軸性近視)

1遺伝によって影響を受ける

2都市部のほうが田舎より早い

3近いもの(ゲームや本、タブレットなど)を見る時間が長いほど早い

4戸外活動によって近視になりにくい

5IQや学歴と相関がある

などが明らかになっています。

成長していくにつれて、身長が大きくなり、眼球の長さも徐々に長くなります。そのため、小学校高学年から中学生くらいまで急激に近視が進むことが多いです。その後は緩やかに進行します。また、生活環境によっても近視の進行は影響を受けるため、20代から30代になっても近視が進行する人もいます。

ー 近視の割合は近年増加傾向 ー

ー 近視の割合は近年増加傾向 ー

2019年度学校保健統計調査(文科省)

2019年の文科省による学校保健統計調査によると、幼稚園、小学校、中学校、高校、全ての年代で裸眼視力が1.0未満の子が年々増加傾向にあることが報告されています。

治療法(予防法)

・近視用の眼鏡やコンタクトレンズ
・屈折矯正手術(レーシックなど)

最近では近視抑制法としてオルソケラトロジー(寝る時につける特殊なコンタクトによる矯正)、低濃度アトロピン点眼治療などが有効であると報告されています(2つとも自費診療です)。

Q 近視は遺伝するの?
A
遺伝も関係します。
目の長さが長いか短いかは、遺伝的に決まります。両親ともに近視の場合、その子供は、近視でない両親から生まれた子供よりも、近視になるリスクが8倍高いことが分かっています。しかしながら、詳しい遺伝形式は分かっておりません。また、遺伝以外にも生まれてからの環境が近視になりやすくなるかどうかに影響することが分かっています。例えば、近くのものを見ることが多いと近視になりやすくなります。そのため、両親が近視だと子供も必ず近視になるとはかぎりません。
Q 暗いところで本を読んだら
目が悪くなるの?
A
疲れやすくなり、目が悪くなることがあります。
暗いところで本などを見る場合、瞳が大きくなっているため、ピンホール効果(※)が得られにくく、目が頑張ってピントを調節しないとならず、より多くの負担がかかります。そのため、明るいところで見るよりも目が疲れやすくなります。眼精疲労が起こったときに近視になる人と遠視になる人の割合は半々と言われており、どういった人が視力が低下して、どういった人が低下しないかは分かっていません。どちらにしても目が疲れやすくなります。また、明るすぎても疲れやすくなるため、まぶしすぎない適度な明るさが大事だと言われています。

※ピンホール効果とは?

※ピンホール効果とは?

ピンホールを覗いた場合、目の中に入ってくる光を中心近くに制限することになり、焦点が結びやすくなる現象をいいます。親指と人差指で非常に小さな穴を作って覗いてみると実感できると思います。

Q 仮性近視(偽近視)とは?
A
近くのものを見る時にピント調節する筋肉が緊張してしまい、遠くが見えづらくなる状態のことです。
近くのものを見る時、毛様体筋という筋肉を使ってレンズ(水晶体)を膨らませ、ピント調節をしています(→ 詳しくは「老眼」ページ)。その筋肉が過度に緊張してしまう状態(調節緊張もしくは調節痙攣)になってしまうと、遠くが見えづらくなります。この状態が仮性近視(偽近視)です。近視とは異なり、仮性近視の場合は目薬で治療できることがあります。

遠視

遠視

主な原因

1.眼球の長さが短い(=軸性遠視)

2.光を屈折させる力が弱い(=屈折性遠視)

眼内に入った光の焦点が網膜の奥で結ばれてしまい、網膜にピントが合わない状態のことをいいます。遠くにも近くにも焦点が合いづらいため、ものを見るためにはピントを調節する努力が必要であり、遠視でない人よりも眼精疲労が起こりやすいです。
幼少時から強い遠視があると、ピンぼけの状態で生活するため、視力の発達に影響があり、弱視と呼ばれる状態になってしまいます。3歳までに約67%が、6歳までにほとんどの子供が1.0以上になります(表1)。また、視力の発達のピークは小学校低学年と言われており、それまでの間に視力を発達させてあげることが重要です。そのため、できるだけ早く弱視を発見し、早急に視力発達を促す治療をすることがとても大事であり、これが3歳時検診と就学前検診が行われている理由です。もし視力検査で引っかかった場合には、放置するのではなく、必ず眼科に受診するようにしましょう。

表1 視力の発達の目安

年齢 視力
生まれて1ヶ月 光が見える~目の前で動いているのが分かる
1ヶ月 0.01 ~ 0.02 
1歳 0.2 ~ 0.25
2歳 0.5 ~ 0.6
3歳 1.0以上 (67%の子供)
5歳 1.0以上 (83.1%の子供)
6歳 1.0 〜 1.2

乱 視

基本的には、角膜のひずみによって、目の中に入ってきた光の屈折がずれ、焦点が合わなくなることを言います。例えば、乱視のない角膜はきれいなドーム状(ボーリングの玉のような滑らかな球体)をしていますが、乱視の目は縦と横の比率が崩れ、楕円形のカーブになっています(ラグビーボールのような形)。そのため、物が二重に見えたり、字がくっきり見えない状態になります。

また、乱視は眼鏡で矯正できる「正乱視」と、眼鏡では矯正できない「不正乱視」に分類されます。不正乱視は、角膜の表面が凸凹(でこぼこ)して歪みがある状態です。

多少なりとも乱視である方が多く、軽度の乱視では自覚症状はほとんどありません。しかし、角膜に歪みを起こす病気(円錐角膜や翼状片など)や白内障の進行によって乱視が強くなることがあります。乱視が強い場合、疲れやすくなったり、まぶしさに敏感になることがあります。

乱視のセルフチェック

片目ずつ図の放射線を見てください。
角度によって線の濃さや太さに違いがある場合、乱視の可能性があります。

<乱視のセルフチェック>