白内障について

白内障とは?

目の中のレンズが濁ること

目の中には「水晶体」というレンズがあります。これは虹彩(いわゆる黒目)のすぐ後ろにある透明な組織で、大きさは直径9mm、厚さ4mmほど、表面が凸レンズ状に膨らんだ形をしており、透明な袋(水晶体嚢)で包まれています。イメージでいうと、“まんじゅう”のような構造で、中身の“あんこ”の部分が水晶体、周りの“皮”の部分が水晶体嚢です(図1)。そしてその袋ごと目の中でハンモックのように糸状の組織(チン小帯)によってぶら下がった状態で固定されています。

図1

まんじゅう

この水晶体はカメラでいう“レンズ”に相当し、光を屈折させて網膜にピントを合わせる働きをしています。生まれた時は無色透明でよく光を通しますが、25歳頃から徐々に濁り始めます。それにより、目の中にうまく光が届かないようになってしまいます。この水晶体の濁りが強くなった状態を「白内障」といいます(図2)。

図2

白内障について
スリット写真

白内障の原因は?

多くは老化現象によるもの

白内障になる原因は様々ですが、最も多いのは目の老化に伴う老人性白内障です。その進行の早さや視力低下の程度は個人差がありますが、60代では70%以上、80代ではほぼ100%の方が白内障による視力低下が起こっています。その他の原因としては、目のケガ、糖尿病、目の炎症、アトピー性皮膚炎、紫外線や放射線、薬による副作用(代表的なものはステロイド)などで発症することもあります。

白内障の原因は?

白内障の症状は?

かすみ目や視力低下、まぶしさなど

白内障が進行した場合の主な症状は、①かすんで見えづらい(かすみ目)②光がまぶしく見える③近視になることがある④眼が疲れやすい、などです。視界が霧がかったようにかすんでしまったり、天気によって見えづらさが変化したり、夜の運転の時に街灯や対向車のヘッドライトが異常にまぶしく感じるようになったりします。それにより、目が疲れやすくなります。そして、白内障が進行すると、その見えづらさは眼鏡をかけても改善されなくなります。また、個人差はありますが、近視が進む場合もあります。
これらの症状がある場合、白内障が進行している可能性があります。また、他の病気によってもこれらの症状が出ることがあります(→ 詳しくは症状ページ「かすみ目」)ので、こういった症状がある方は、一度眼科での検査をお勧めします。

白内障の自己チェックシート

白内障の自己チェックシート

<車を運転される方>

白内障の治療法は?

抗白内障薬は発症や進行を遅らせる効果はあるが、治す方法は手術しかない

白内障は軽度であれば点眼や内服薬による治療によって発症や進行を遅らせることができます。しかしながら、現時点で開発されている全ての「抗白内障薬」は、進行予防に効果があるとされていますが、完全に進行を防ぐことは不可能です。なぜなら、白内障は年齢の変化に伴って必ず進行するものであり、老化を止める薬がないことと同じです。1年後、5年後、10年後には100%進行します
また、すでに進行してしまった白内障に対して「抗白内障薬」は効果がありません。
白内障が進行して視力が低下した場合には、白内障手術によって視力を回復することができます。(→ 詳しくは手術ページ「白内障手術について」

水晶体
水晶体の濁り