コンタクトについて

コンタクトレンズについて

国内でコンタクトレンズを使用している人はすでに1800万人を超えたと言われています。コンタクトレンズを装用開始する年齢も年々低下し、中学生になる頃から急激に増加しています(下のグラフ参照)。また、最近ではインターネットで簡単に購入することができるようになりましたし、カラーコンタクトレンズなどおしゃれ目的でコンタクトレンズをする人も多くなっています。

小・中・高校生の学年別コンタクトレンズ使用割合

小・中・高校生の学年別コンタクトレンズ使用割合

確かにコンタクトレンズは眼鏡と比べて優れている点は多くあります(下表参照)。眼鏡からコンタクトにすることによって、不自由している人の助けになっていることは間違いありません。しかし、コンタクトレンズは「高度管理医療機器」です。不適切な使用や管理によって、コンタクトレンズ使用者の3割に何かしらのトラブルが起こっており、最悪の場合、失明することもあります。
そのため、当院では眼鏡との併用を強く勧めています。また、未成年の方は、きちんとレンズケアができる、もしくは保護者が責任持って管理できることを前提として、眼鏡をまずは使用した上でのコンタクトレンズへの切り替えを勧めております。当院では眼鏡を持っていない未成年の方へのコンタクトレンズの処方は基本的に行っておりません。

コンタクトレンズと眼鏡の違い

コンタクトレンズと眼鏡の違い

1日使い捨て(1day)タイプのソフトコンタクト

<メリット>

  • 酸素透過性が高いタイプであれば最も目にとって優しい
  • コンタクトのケアが不要
  • 毎日新品を使用するため、衛生的で安心
  • コンタクトに傷がついたり、なくしても替えがききやすい
  • アレルギー性結膜炎の方に最適
<デメリット>

<デメリット>

  • コンタクト1枚あたりの費用は高め
  • 使用する頻度が多いと購入頻度が増える
  • 再利用ができない

☆ こんな人におすすめ

・ スポーツの時だけなど、毎日は使用しない方
・ アレルギー性結膜炎を起こしやすい方
・ より衛生的に使用したい方

※ 1dayタイプの注意点

ワンデーというのは24時間以内であれば何度も使用して大丈夫ということではなく、1度外してしまうと洗浄しても使用できません。万が一、外れてしまった時のために、替えのコンタクトを持ち運ぶことをお勧めします。

2week タイプのソフトコンタクト

<メリット>

  • 比較的安価
  • 種類が豊富のため、様々な屈折に対応可能

<デメリット>

  • 毎日のコンタクトケアが必要
  • コンタクトケアが不適切だと角膜感染症になる危険性あり
  • 装用感は徐々に悪くなりやすい

☆ こんな人におすすめ

・ 毎日使用する方
・ 極力低コストにしたい方
・ 買い直す手間を少なくしたい方

※ 2week タイプの注意点

コンタクトの洗浄を適切に行わないと非常に危険です。こすり洗いなど丁寧に洗浄しましょう。古いコンタクト液を使用することもやめましょう。また、コンタクトケースに菌が繁殖するため、定期的に新品のコンタクトケースに取り替えることも重要です。2週間という期限は開封日から数えます。そのため、もし2週間に1度しか使用していなかったとしても交換するようにしましょう。

カラーコンタクトレンズ

<メリット>

  • おしゃれ

<デメリット>

  • 色落ちしてしまうことがある
  • 目に傷がつきやすいことがある
  • 酸素透過性が悪いものが多く、目に負担がかかる
  • 乱視や度数の幅が狭く、種類が少ない
  • 粗悪なものもあり、購入先に注意が必要

※ カラーコンタクトレンズの注意点

上記のように、カラーコンタクトレンズは目に負担がかかりやすいものがほとんどです。また、簡単にインターネットで購入できるようになりましたが、海外製のものなどで粗悪なものを輸入している場合もあります。粗悪なものではカラーコンタクトレンズの色が目の表面に悪さをして傷や濁りを作ってしまい、最悪の場合、失明に至ることもあります。
そのため、使用時間を極力短くすること、できるだけワンデータイプにして毎日は使用しないこと、そして、目への負担が大きくないかを定期的に眼科で検査を受けることをお勧めします。

ハードコンタクトレンズ

<メリット>

  • 酸素透過性が高く、目に優しい
  • 大事にレンズケアができれば最も安価で経済的
  • 乱視の矯正効果が高く、強い乱視に適している
  • 目に傷がついた場合にゴロゴロしやすく気付きやすい
  • 円錐角膜のような病気に対する治療に使用可能

<デメリット>

  • 毎日のコンタクトケアが必要
  • コンタクトケアが不適切だと角膜感染症になる危険性あり
  • 装用感はソフトコンタクトより慣れが必要
  • 激しい動きで外れることがあるため、スポーツには不向き
  • 割れてしまったり紛失した際に買い直す費用が高い
  • 何十年も使用するとまぶたが下がる(眼瞼下垂)ことがある
  • 充血しやすくなる

☆ こんな人におすすめ

・ 毎日使用し、激しい運動をしない方
・ 強い乱視の方
・ コンタクトケアができて安価で済ませたい方
・ 円錐角膜の方

検査からコンタクト処方までの流れ

1問診

目の症状や既往歴、コンタクトの使用目的や使用頻度、装用見込み時間などをお聞きし、どのようなタイプのコンタクトレンズが適しているか、選ぶ参考にさせていただきます。

2他覚的屈折検査

専用の検査機器を用いて、近視や遠視、乱視といった屈折異常の程度、目の形を計測します。

3視力検査

検査機器の結果を元に、視力検査表で視力がきちんと出るか、コンタクトレンズの度数はどのくらいが適しているかを決めます。

4目の診察

コンタクトレンズを装用できる状態かどうか、目の表面や目の奥に異常がないかなどを医師が診察します。

5レンズの種類相談と装用確認

どんなコンタクトレンズが適しているかについて相談します。当院では眼科検査のスペシャリストである視能訓練士が対応します。

6装用テスト

つけ心地や目の形にレンズが合っているか(フィッティング)の確認を医師が行い、必要な場合は微調整を行います。

7コンタクトレンズの度数決定

検査機器での結果やコンタクトレンズを装用した状態での視力検査によって微調整を行い、コンタクトレンズの度数を決定します。

8コンタクトレンズの装用練習

初めてコンタクトレンズを使用する方は、コンタクトレンズのつけ方・外し方の練習や、レンズケア(お手入れ)のポイントについてご説明します。

9処方箋の発行と会計

検査料のお支払いをしていただき、コンタクトレンズの処方箋が発行されます。

処方箋の発行と会計

コンタクト使用の際は 必ず眼科で定期検査を!!

コンタクトレンズはインターネットでも簡単に購入することができるようになりました。しかし、眼科での検査を受けずに、安易にコンタクトを使い続けるのは非常に危険です。コンタクトレンズを使うことで様々な目のトラブルが起こる可能性があります。特に問題となるコンタクトレンズ眼障害は以下のようなものです。

  • アレルギー性結膜炎
  • ドライアイ
  • 角膜上皮の傷
  • 角膜潰瘍(アカントアメーバ角膜炎)
  • 角膜内皮細胞の減少
  • まぶたが下がる(眼瞼下垂)

1.アレルギー性結膜炎

コンタクトレンズは異物であるため、レンズそのものに対してアレルギー反応を引き起こします。また、レンズに付着した汚れやタンパク質、コンタクト液に対するアレルギー反応も起こることがあります。かゆみや目やに、ゴロゴロする異物感、充血、まぶたの腫れなどがあれば、コンタクトレンズを中止し、他の結膜炎やその他のコンタクトレンズ眼障害が起こっている可能性もあるため、眼科に受診しましょう。

治療

コンタクトレンズの使用を中止し、点眼などによりアレルギー性結膜炎の治療(詳細は「アレルギー性結膜炎のページ」)を行います。

予防方法

コンタクトレンズに付着した汚れやタンパク質をこすり洗いでしっかり落とし、清潔に保つようにコンタクトケアをしっかりと行うことが大切です。レンズのタイプは2weekタイプよりもワンデータイプの使い捨てレンズを使用したほうが常に清潔な状態を保てることができ、アレルギー反応を起こしにくくなります。また、レンズの素材を変えることでアレルギーが出にくくなることもあります。

2.ドライアイ

ソフトコンタクトレンズは吸水性が高く、また、レンズ表面から蒸発してしまうため、ドライアイを引き起こします。ドライアイについて詳細を知りたい方は「ドライアイのページ」を参照してください。

治療

まず意識的にまばたきすることを心がけましょう。まばたきすることで目の表面に涙が補充されるようになります。次に、目に潤いを与えるための点眼薬をすることをお勧めします。ただし、コンタクトレンズの上から点眼できるタイプと点眼できないタイプがあります。コンタクトの上から点眼できないタイプを使用してしまうと、レンズに成分が吸着されてしまい、レンズが使用できなくなったり、目に異常をきたす場合があります。そのため、一度、眼科医に相談することをお勧めします。

予防方法

ドライアイになりにくいタイプのレンズを選びましょう。ソフトコンタクトレンズの中にもドライアイになりにくいタイプのものもあります。また、ハードコンタクトレンズのほうが水分を含まないため、乾燥感を感じにくくなります。また、一般的なドライアイの予防法(加湿器、長時間のパソコン使用を控えるなど)も効果的です。

3.角膜上皮の傷

コンタクトレンズの装用時間が長かったり、擦れてしまうとが目の表面(角膜)に傷を作ってしまうことがあります。特にドライアイがあったりコンタクトレンズをつけたまま寝てしまったりすると、目が乾燥してしまい、コンタクトレンズが角膜に張り付くため、瞬きだけでも傷がついてしまうことがあります。また、レンズの汚れも傷の原因となります。症状としては、ゴロゴロして、痛みが強くなったり、かすんで見えづらくなってしまいます。

治療

まずコンタクトレンズを中止します。また、傷を早く治すための点眼薬や眼軟膏を使用します。傷に細菌が入り込むこともあるため、抗菌薬の点眼薬を併用することもあります。

予防方法

ドライアイ予防と適切なコンタクトレンズケアが基本です。また、装用時間を短くすることも重要です。

3.角膜上皮の傷

コンタクトレンズの装用時間が長かったり、擦れてしまうとが目の表面(角膜)に傷を作ってしまうことがあります。特にドライアイがあったりコンタクトレンズをつけたまま寝てしまったりすると、目が乾燥してしまい、コンタクトレンズが角膜に張り付くため、瞬きだけでも傷がついてしまうことがあります。また、レンズの汚れも傷の原因となります。症状としては、ゴロゴロして、痛みが強くなったり、かすんで見えづらくなってしまいます。

治療

まずコンタクトレンズを中止します。また、傷を早く治すための点眼薬や眼軟膏を使用します。傷に細菌が入り込むこともあるため、抗菌薬の点眼薬を併用することもあります。

予防方法

ドライアイ予防と適切なコンタクトレンズケアが基本です。また、装用時間を短くすることも重要です。

4.角膜潰瘍(アカントアメーバ角膜炎)

数あるコンタクトレンズによる眼障害の中でも、非常に重篤なのはこの角膜潰瘍です。特にアカントアメーバが原因の角膜炎に注意が必要です。アカントアメーバは池や川、水道水に生息する原虫のことで、コンタクトレンズに関係するものは特に水道水に存在するということがポイントです。水道水は元々無菌ではありません。菌や微生物が多少なりとも存在しますが、普段口にしても問題はありません。しかし、アカントアメーバがレンズに吸着し、それが角膜に入り込んでしまうと、最悪失明することもあります。そのため、コンタクトレンズを水道水で洗浄するのはやめましょう。また、使用期間を過ぎても同じコンタクトレンズを装用し続けたり、古い洗浄液を使用したり、長い期間同じコンタクトケースを使用することなども危険です。

治療

まずコンタクトレンズを中止し、角膜表面の病気の部分を削りながら、抗真菌(いわゆるカビ)薬と専用の消毒液を点眼するという治療を長い期間必要となります。

予防方法

適切なコンタクトレンズケアを行うことが重要です。

5.角膜内皮細胞の減少

酸素透過性の悪いコンタクトレンズを長期間使用していると、角膜に酸素不足が起こってしまい、内側の細胞(角膜内皮細胞)が酸欠で減ってしまいます。この角膜内皮細胞は角膜の透明性の維持に重要な役割を担っています。そのため、角膜内皮細胞が減りすぎてしまうと、角膜が濁って見えなくなってしまい、最後は角膜移植手術が必要となってしまいます。一度減ってしまった角膜内皮細胞は回復しないため、減らないように予防することが重要です。

<角膜内皮細胞の写真>

<角膜内皮細胞の写真>

治療

減ってしまった角膜内皮細胞は回復しないため、角膜内皮細胞を移植する角膜移植手術が必要となります。

予防方法

酸素透過性の高いコンタクトレンズを選ぶようにしましょう。また、コンタクトレンズの長時間の使用は避け、目を休めてあげることが大切です。

6.まぶたが下がる(眼瞼下垂)

ハードコンタクトレンズを長期間使用すると、まぶたが下がってくる(眼瞼下垂)ことが分かっています。ハードコンタクトレンズを使用している人は、使用していない人に比べて約20倍リスクが高くなるという報告もあります。ハードコンタクトレンズをしているとなぜ眼瞼下垂になるかという理由についてはよく分かっていませんが、ハードコンタクトレンズという異物を入れた状態で一日に約20000回にもなるまばたきをすることで、まぶたを挙げるための筋肉などが物理的に引き伸ばされることが原因ではないかと考えられています。

治療

下がってしまったまぶたを挙げるため、まぶたを切ったり、筋肉を縮めたりといった眼瞼下垂手術が必要になります。

予防方法

コンタクトレンズの長時間装用を避けることが大切です。また、ハードコンタクトレンズよりもソフトコンタクトレンズのほうが眼瞼下垂が起こりにくいとされています。