黄斑円孔

黄斑円孔とは?

加齢とともに後部硝子体剥離(詳細は「飛蚊症」のページ参照) が起こる際に、硝子体が黄斑(網膜の中で視機能に最も重要な部分)に強く接着していることがあります。それにより、後部硝子体剥離の進行に伴って黄斑が引っ張られ、黄斑に穴が空いてしまった状態のことを「黄斑円孔」といいます。黄斑円孔はその進行度によって大きく分けるとステージが1〜4まであります。院長が黄斑円孔について詳しく書いた記事が『OCULISTA 2020.3月増大号「眼科鑑別診断の勘どころ」』という雑誌に掲載されているので、興味のある方はご一読下さい。

Q. 黄斑円孔とは?

症状

網膜はカメラでいうところのフィルムの役目をしており、黄斑は特に重要な部分です。その黄斑に穴が空くと、見ている画像が歪んで見えたり、真ん中が欠けているように見えてしまいます。また、鏡をかけてもよく見えないなど、視力に影響が出てくるようになります。

検査方法

1視力や眼圧検査などの一般検査

視力が下がっていないか確認します。視力が徐々に下がる場合もあります。

2細隙灯顕微鏡検査

黄斑円孔は加齢とともに起こることが多いため、他の加齢性変化である白内障などがないかを確認します。

3アムスラー検査

碁盤の目状のマスを見る検査で、歪みを感じているかを確認する検査です。次のページの簡単チェックシートで確認してみて下さい。

4眼底検査

黄斑円孔の大きさやステージを確認し、その他に病気がないかも調べます。

5光干渉断層計(OCT)

網膜の断層画像を撮影する検査で、黄斑円孔の大きさを定量的に計測したり、進行のステージを調べることができます。治療方針の決定に大切な検査です。

簡単チェックシート

1老眼鏡はかけたまま、 目から30cmほど離す

2片眼をつぶって中心の黒い点を見る

3下のような見え方をしていないか確認する

簡単チェックシート

黄斑円孔の方は以下のように見えることがあります。

 

中心が暗く見える
中心が暗く見える
ゆがんで見える
ゆがんで見える
部分的に欠けて見える
部分的に欠けて見える

これらの症状があったり、最近視力が下がったように感じる場合は、精密検査を受けましょう。

治療方法

黄斑円孔はまれに自然治癒することもありますが、基本的には手術でしか治すことができません。また、時間経過とともに徐々にステージが進行し、穴の大きさも大きくなってしまいます。穴が大きい場合やステージが進んでしまってからの手術では、穴が閉じる可能性が低くなります。また、穴が閉じても術後の後遺症(歪みが残る、視力が上がらない、など)が残りやすくなるため、早期での手術をおすすめします。硝子体手術では、穴が塞がりやすくなる処置を行い、目の中に空気を入れます。空気の力を利用して穴を塞ぐために、手術後はうつぶせが必要になります。これは、目の中は水でできていて、空気は水に浮かぶます。そのため、目の中心にある黄斑部分に空気を当てるには、うつぶせをする必要があるためです。

硝子体手術

硝子体手術原因となっている膜を特殊な器具を用いて眼内から取り除く手術です。当院では極小切開硝子体手術という、傷口が0.5mm程度の負担が少ない手術を行っています。
手術の際に空気を注入し、手術後は3日間程度うつぶせが必要です。