眼精疲労

眼精疲労とは?

目や全身の異常によって目の疲れ、あるいは目の痛みや頭痛などを引き起こすものをいいます。症状が頑固で、全身にも影響が出ることもあり、このような状態を「眼精疲労」と呼び、単なる目の疲れとは区別しています。

眼精疲労とは?

主な症状

<目の症状>

  • 目の疲れ
  • ぼやける
  • かすむ
  • 目が痛い
  • 充血する
  • しょぼしょぼする
  • 目が重い
  • まぶしい
  • 涙が出る

<全身の症状>

  • 肩こり
  • 倦怠感
  • 頭痛
  • めまい
  • 吐き気

目の疲れが全身に影響が出る理由として、目が見えづらいことからものをよく見ようとして姿勢が悪くなってしまったり、目をこらして見ることでの緊張や精神的ストレスなどが原因である可能性があります。

眼精疲労の原因

1.目の病気

1近視・遠視や乱視、老眼などの矯正不良

近視や遠視、乱視といった状態(→詳しくは「近視・遠視・乱視」のページ)には、正しい度数の眼鏡やコンタクトが必要です。しかし、自分の目に合っていない度数(弱すぎる、強すぎる)だと、モノを見る際に目が緊張してしまいます。また、左右の視力の違いが大きい場合、両目で見る際の負担が大きくなり、眼精疲労になりやすくなります。
老眼は、40歳を過ぎた頃から急激に進み、より眼精疲労になりやすくなります。また、最近では、若者でも老眼のようになり、眼精疲労を感じる方が急増しています。いわゆる「スマホ老眼」といわれるものです(→詳しくは「老眼」ページ) 。
視力が低い場合、目を凝らしたり、近づいて見ようとすることで前のめりの姿勢になります。それによって、目の疲れや肩こり、精神的なストレスなどが引き起こされます。そのため、自分の目に眼鏡やコンタクトが合っているのか、きちんと眼科で検査することをお勧めします。

2ドライアイ

目の表面が乾燥する病気です。ドライアイがあるとぼやけやしょぼしょぼした状態になり、眼精疲労につながります(→詳しくは「ドライアイ」のページ)。また、近年増えつつある、スマホやタブレット、パソコンなどの使用によって引き起こされる「VDT症候群」とも深く関連しています。

3緑内障

目の神経が薄くすり減っていく病気(→詳しくは「緑内障」のページ)です。視野が狭くなり、眼精疲労にも繋がります。40歳以上の人は、緑内障がないか、きちんと精密検査を受けることが重要です。

4斜視・斜位

目の位置がずれてしまう病気で、眼精疲労に大きな影響を与えます。また、遠視や近視に伴うものもあり、きちんとした眼鏡での治療も必要です。

2.全身の病気

全身の異常は、間接的に眼精疲労の原因となることがあります。眼精疲労の原因となりうる全身の病気としては、便秘や胃下垂などの消化器の病気、低血圧、貧血、妊娠や更年期障害、脳腫瘍、鞭打ち、薬の副作用、精神的なストレスなど、多岐にわたります。眼精疲労を訴えて受診した方で、目の検査から全身の病気が見つかることもあるので、単なる目の疲れと思わず、一度きちんと検査を受けることが重要です。

3.環境要因

1VDT症候群

眼科領域では「テクノストレス眼症・IT眼症」とも呼ばれています。タブレットやパソコンの作業に伴って、ドライアイや眼精疲労を引き起こすもので、近年この病気になる方が非常に多く、代表的な現代病の一つといえます。特に、新型コロナウイルスによる影響で、巣ごもりによって目を使う頻度が多くなっており、「VDT症候群(→詳しくは「VDT症候群」ページ)」になる方が非常に多くなっています。

2シックハウス症候群

換気の悪い、締め切られた家の中にいる人がかかるもので、新建材に含まれる化学物質(ホルムアルデヒドや有機溶剤など)が原因で、眼精疲労を訴える方もいます。

以上のような様々な原因がいくつか重なることで、目の負担が増えていき、結果として眼精疲労になります。したがって、眼精疲労となりうる原因がないか、細かく調べていき、その原因を一つ一つ解決していくことが、眼精疲労の治療に必要であり、一筋縄ではいかないことが多くあります。また、はっきりとした原因が見つからない場合も少なくありません。

眼精疲労の対策

対策1.目や全身の病気が隠れていないか、精密検査を受ける

前述したように、眼精疲労の原因として、目や全身の病気が関係していることがあります。単なる目の疲れと軽く考えずに、精密検査を一度受けることをお勧めします。眼科では、視力検査の他に、眼圧検査(目の固さを調べる検査で、緑内障に関係する)や眼底検査(目の中の病気がないか調べる検査)、眼球運動や眼位検査(目の位置を調べる検査)、調節検査(老眼の程度を調べる検査)などを行います。原因となりうる病気が見つかれば、それに対する治療を行います。明らかな病気が見つからない場合でも、ビタミンの点眼薬で症状を和らげることができます。

対策2.今の眼鏡やコンタクトが自分の目に合っているかを調べる

細かい文字が最もよく見える(最良の視力が出る)眼鏡が、必ずしも良い眼鏡とは限りません。はっきり見えすぎることで、むしろ疲れやすくなることがあります。そのため、実際に眼鏡で見たい距離に合わせた適切な度数の眼鏡というのが必要です。自分の目に合っていない眼鏡やコンタクトをしている方が非常に多くいらっしゃいます。また、目の度数は加齢や眼精疲労の程度、白内障の進行によっても変化するため、作った際にはピッタリだった眼鏡も、数年後には合わなくなってしまうことも少なくありません。そのため、今の目に合っているかを調べるために、調節検査や視力検査といった精密検査をきちんと眼科で受けることが必要です。

対策3.目を使う環境や目の使い方をチェックする

眼精疲労対策には目を使う環境から整えることがとても重要です。パソコン作業や読書などの際、部屋の明るさは明るすぎても暗すぎても眼精疲労に繋がります。机上の明るさは照度計で300ルクス以上、パソコンのディスプレイの照度は500ルクス以下が望ましいと言われています。その他に、ディスプレイによる照明の反射を抑えること、長時間同じ姿勢をとらないこと、ディアスプレイの位置やドライアイに注意することなどが重要です。詳しくは「VDT症候群」のページを御覧ください。

対策3.目を使う環境や目の使い方をチェックする

対策4.良質な睡眠とストレス解消

身体の疲労は眼精疲労と深く関係しています。疲労を回復するためには、まず良質な睡眠が重要です。寝ている間にも目の緊張も和らぎ、眼精疲労の緩和に繋がります。また、精神的なストレスも眼精疲労の大きな原因の一つです。趣味や散歩、スポーツなど、精神的にも身体的にもストレスを解消することはとても重要です。

対策4.良質な睡眠とストレス解消

対策5.目の体操、マッサージ、保温による血流改善

同じ距離のものを長時間見ていると、目を調節する筋肉が凝り固まります。それをほぐすためには、目の前に人差し指を立て、近くの指と遠くの景色を交互に見るストレッチが効果あります。また、眼球を時計回りと反時計回りに数回ずつ回す体操も良いでしょう。 目の周り(こめかみや眉毛、目の下あたり)を指で押すマッサージも効果があります。その際、眼球自体を押さないように気をつけて下さい。

また、目や首筋、肩を温めることも眼精疲労に効果的です。お風呂で温めたり、シャワーをかけることも良いです。目を温める際、温かいタオルをのせるのも効果的ですが、温めたタオルはすぐ冷えてしまい、逆効果になることもあるので注意が必要です。場合によっては、市販されている保温機能のある商品を利用するのも良いと思います。

対策5.目の体操、マッサージ、保温による血流改善